ヒトエグサの食害対策 平成25年度の活動


ヒトエグサが育たない
ここ近年、湾奥でのヒトエグサの不漁が続いています。
海苔網の採苗は正常に採取して発芽していますが、摘採できる長さに成長していません。
また、過去には様々な調査が行われてきましたが、具体的な解決策が見当たりません。



原因調査
写真1

写真2

姶良伊佐地域振興局・錦江漁協・錦海支所)と合同で不漁の原因調査を開始しました。
原因としては環境(水温など)・種・水質(栄養素など)・食害などいろいろ考えられますが、その中からすぐにできるものとして、食害の対策を実施しました。
写真1は2013年11月に錦江漁協の養殖網に鉄の柵(升目の大きさは10cm)で囲みほかの部分と生育の違いを比較しました。



写真2は設置後、2週間ほど経過したものですが、明らかに生育に違いが確認されます。


食害とは
魚(アイゴなど)や鳥(鴨など)が捕食することで生育を阻害されることです。
湾奥での不漁の原因と断定してはいませんが、現地近くには鴨の群れや養殖網の中を泳ぐ鴨が確認されています。

検証試験
2014年1月に錦江漁協から錦海支所へ海苔網を2枚(1.8m×20mを2枚)使って検証してみます。

食害という視点から防護あみ(4m×21m)を設置します。
既に設置した海苔網全体(側面と上面)を簡易的に古い海苔網で覆って食害対策をおこないました。


成長を確認
左の写真はヒトエグサの網を設置して食害対策を実施してから約3週間経過したヒトエグサです。
3cmから長いところで5cm程度の成長がみられます。
本来は網のすべての部分から海苔が伸びるところですが、今回検証に使用した網が珪藻の付着により半分程度しか生き残っていません。ですが、生き残って部分は成長が確認できます。
今回の試験では4回の摘採で1網あたり約15kgの収量を確認しました。

まとめ
検証試験より何らかの食害によりヒトエグサの生育が阻害されていると思われます。
今年のシーズンは終わり、平成26年度は秋口から始まります。
従来の生産方法(海苔網の管理)に食害対策を行うことで生産は可能と考えられます。ただし、食害対策の防護あみは新たな投資となり生産コストへの影響が大きいため今後の課題となります。

注意)左の写真はイメージです。